本研究は、関節リウマチ患者を調査対象とし、その生活行為の処理状況と住環境整備状況の実態調査を通じて、わが国において70万人とも言われる関節リウマチ患者の住環境整備手法を調査・分析するものであり、障害を持つ人に対しても質の高い住環境を保障しているスウェーデンとわが国の実態を調査することにより、より具体的な住環境整備方法を検討するものである。両国における調査を実施するにあたり、調査対象者の身体状況および生活の質を評価する指標として、米国ボストン大学で開発され国際的にもその信頼性が評価されているAIMS2という指標を用い、それと同時に住環境整備の状況を質問した。 スウェーデンにおける調査は、スウェーデンリウマチ患者協会(Reumatikerforbundet)の協力を得た。同協会の会員を対象に、無作為抽出により、500名に郵送によるアンケート調査を実施し(平成16年5月実施、有効回答数334)、同時にアンケート調査の回答者より8名を選定し、同年9月にケーススタディ調査を行った。 両調査の結果より、比較的、住宅改修の実施頻度の高い箇所として、浴室、台所、便所、洗面脱衣所などが、さらに利用頻度の高い福祉用具として、靴や電動歯ブラシ、補高便座、調理に関する自助具などが取り入れられている状況が判明した。また、同時に、人的サポートに関しては、公的なサービスよりも、同居者や独立した子供など、身内によるインフォーマルなサポートの頻度が高い状況も明確となった。 日本における調査は、東京都内に立地しリウマチ診療科を有する医療機関を通じて実施している。この医療機関は全国規模での患者を有しているが、受診者より無作為抽出により、581名を選定し、平成17年2月にアンケート調査を郵送した。現在、アンケートの回収作業およびケーススタディの調査対象者の選定を行っている。平成17年8月には、日本におけるケーススタディ調査を実施し、総合的な調査結果の分析を実施する予定である。
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