高齢者の介護の場において居宅介護やグループホーム、ユニットケアなどの福祉施設などが注目を集めるなか、高齢者の自立を支援する介護サービスが求められている昨今である。その介護サービス提供の中心的役割を担っているのが介護福祉士であるが、介護福祉士養成施設を経て資格を取得するものは20%を越える程度であり、若年者が多く、日々の生活を営むための衣食住の自立度も低いと考えられる。そのような学生たちが、高齢者や障害者の食の支援をするにあたり、栄養・調理の分野で重点的に習得すべき項目を探ることを目的とした。そこで、今年度は2つのアンケート調査を実施することとした。 (1)介護福祉士養成施設に在学する学生の栄養摂取状況、食生活と健康に関する意識、調理に関する知識や経験についての現状を把握することを試みた。(福岡医療短期大学保健福祉学科1年47名)アンケートが回収できた35名分は来年度の調査と併せて解析する予定である。また、35名のうち協力の得られた10名には秤量法による食事記録とインスタントカメラによる食事の撮影を3日間依頼した。これにより栄養摂取状況の精度の確認も行ないたい。 (2)介護福祉士養成施設の卒業生が介護福祉士の業務の中で実際に必要と感じている栄養・調理の知識や技術はどのような項目であるのかを把握するために介護福祉士養成施設卒業生254名に郵送によるアンケート調査を実施した。この調査により卒業生の視点から介護福祉士養成施設における家政学(栄養・調理分野)のカリキュラムが実際の業務につながっていっているのかどうか検討する予定である。
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