地域の食生活の現状と継承されてきた食性及び幼児の食環境の現状を把握し、地域特有の食性の伝承を幼児期における食教育として実践し、その効果を明らかにする。 地域の食性に関する食教育を行うにあたり、対象となる幼児の食環境の現状を把握するため、関市A保育園児の保護者47名を対象に、家庭での共食及び食事中の食に関わる会話といった食事状況と七夕行事食の喫食率及び由来に関する知識についてアンケート調査を昨年度に実施した結果、平日の朝食は他の食事に比べて家族全員で食べている家庭の割合が19%と低く、毎日食事中に食べ物の話をする家庭は全体の30%であった。七夕行事食については、喫食率が7%であり、食べる由来を知っている保護者は21%であった。これより幼児の食環境は、食事をしながら食についての話をする時間は少なく、行事食を食べる風習が薄れてきていることが明らかとなった。 そこで今年度は、食性は地域によって異なり家庭での伝承が薄れてきているという調査結果を基に、地域特有の食性を伝承、しそれを家庭へとフィードバックさせることを目的とした食教育内容及び食教育の媒体の検討を行った。幼児に地域の食性を伝承するため、食教育の内容には関市の伝統食である「かいもちおはぎ」を取り上げることとし、材料となる米やさといもが地域の風土をいかした地域の食材であることを強調し、作り方を含めて紹介することとした。媒体は、幼児が繰り返してみることができるようビデオとし、保育園の近くの田や畑の様子をビデオカメラにより撮影した映像、パソコンを使ってキャラクターを描いた画像及び音声を組み合わせて編集し、作製した。ビデオは、一方的な語りかけにならないよう絵描き歌を取り入れて幼児が参加できるよう工夫した。 今後は、A保育園の園児を対象に作製したビデオ鑑賞及びかいもちおはぎ作り体験を行い食教育を継続的に実施し、幼児の家庭での食事状況や食性の伝承にどのように影響するのかを明らかにしていく予定である。
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