地域の食生活の現状と継承されてきた食性及び幼児の食環境の現状を把握し、地域特有の食性の伝承を幼児期における食教育として実践し、その効果を明らかにした。 地域の食性に関する食教育を行うにあたり、対象となる幼児の食環境の現状を把握するため、関市A保育園児の1保護者47名を対象にアンケート調査を平成16年度に実施した結果、平日の朝食は他の食事に比べて家族全員で食べている家庭の割合が19%と低く、毎日食事中に食べ物の話をする家庭は全体の30%であった。七夕行事食については、喫食率が7%であり、食べる由来を知っている保護者は21%であった。これより幼児の食環境は、食事をしながら食についての話をする時間は少なく、伝統食を食べる風習が薄れてきていることが明らかとなった。 そこで平成17年度は、地域特有の食性を伝承し、それを家庭へとフィードバックさせることを目的とした食教育内容及び食教育の媒体の検討を行い、食教育の内容には関市の伝統食である「かいもちおはぎ」を取り上げ、教材として、幼児が繰り返してみることができるようビデオを作製した。ビデオは、一方的な語りかけにならないよう絵描き歌を取り入れて幼児が参加できるよう工夫した。 今年度は、継続的な食教育を実施した。一週間のビデオ鑑賞後、保育園で幼児にかいもちおはぎ作りを体験してもらい、その前後に聞き取り調査を実施した。その結果、家庭で農作物を作ることは幼児の農作物への関心に影響を与えると考えられた。また、食教育で地域産物であるさといもを紹介することで、食卓で地域産物について話す家庭が有意(p<0.05)に増加したことから、地域産物を食教育の内容に取り入れる効果が示唆された。
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