ゲル化剤として寒天(伊那食品・大和)を用い、食物繊維としては大豆食物繊維とポリデキストロースを用いた。一晩膨潤後、加熱溶解したゾルをガラスリングに流し入れ、粗熱を取った後10℃で24時間放置したものを冷凍前ゲル、さらに冷凍前ゲルの上部を塩化ビニリデンフィルムで覆い、-25℃で24時間放置したものを冷凍ゲル、冷凍ゲルを10℃で6時間かけて解凍したものを冷凍解凍ゲルとした。 寒天の濃度を一定とし、食物繊維の濃度をそれぞれ変化させてゲルを調製し、冷凍前ゲルと冷凍解凍ゲルの性状について、力学測定と状態観察より検討した。その結果、寒天単独ゲルは冷凍解凍により離しょうが激しく、スポンジ様のゲルになり、冷凍前ゲルより破断応力は著しく低下した。寒天に大豆食物繊維を混合すると、寒天のゲル化は抑制され、1%(w/w)の寒天に12%(w/w)の大豆食物繊維を混合した試料では、加熱溶解ゾルを10℃で24時間以上冷却してもゲルを形成しなかった。力学測定においても、大豆食物繊維を混合すると破断応力、破断エネルギー共に低くなり、高濃度の大豆食物繊維を混合すると測定可能な試料を調製することが出来なかった。ポリデキストロースを混合したゲルは、大豆食物繊維を混合したゲルと同様に、ポリデキストロース混合により寒天のゲル化は抑制され、1%(w/w)の寒天に30%(w/w)のポリデキストロースを混合した試料ではゲルを形成しなかった。いずれの食物繊維も寒天のゲル形成を抑制したことから、今回用いた食物繊維を混合することで、ゲル化剤であり且つ食物繊維の一つでもある寒天の使用濃度を高めることが可能であり、また冷却してもやわらかい、ゾルに近いゼリーへの利用展開が期待された。
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