1 山羊乳タンパク質の消化性に関する研究 (1)pHを2.0に調製した山羊乳の粘性は、牛乳よりはるかに低かった。 (2)ペプシンに対する山羊乳の消化性は、牛乳と比べて大きな差がみられなかった。 ソフトカードを形成するという山羊乳の特徴は、試験管内の消化性に対しては、影響しなかった。 2 山羊乳タンパク質の抗原性に関する研究 (1)SDS-PAGE分析の結果、全てのサンプルに微量のα_<S1^->カゼインのバンドが確認されたが、個体差がみられた。 (2)α-カゼインに特異的なモノクローナル抗体を用いてELISAを行った結果、個体別の山羊乳の抗原性は牛乳に比べて、著しく低かった。 (3)山羊乳のタンパク質含量はα-カゼインの抗原性と有意に相関した。 日本ザーネン種の山羊乳は主要アレルゲンの1つであるα-カゼインの含量が低く、育児用ミルクとして応用できる可能性が示唆された。今後、血統の明確な国内の乳用種山羊について、α_<S1^->カゼインを含まない乳汁を産生する個体を選抜して系統として固定化できると、食品としてさらに有用性が広がると考えられる。 2 発酵山羊乳の抗原性に関する研究 (1)発酵山羊乳の粘性は、牛乳よりはるかに低かった。 (2)発酵により乳タンパク質の分解がみられたが、主要アレルゲンタンパク質の抗原性には大きな差がみられなかった。 (3)発酵牛乳カゼイン利用により、アレルゲンを約4割低減化できることがわかった。 (4)発酵山羊乳カゼイン利用により、アレルゲンを約8割低減化できることがわかった。 山羊乳からカゼインを分離して利用することにより、そのアレルゲン性を低減化した食品開発が可能である。
|