学校現場の教師に、生物多様性認識の基本ともいえる"生物分類の思考"を身につけてもらうことを目的として、昆虫類を検索するデータベースを構築した。本年度の具体的な研究成果を集約すると以下の4点に整理することができる。 (1)昨年度、昆虫類を目(Order)のレベルまで検索できるシステムを構築したが、本年度は海外での利用を期待して「検索システムの英文化」を行なった。その結果、気仙沼市立面瀬小学校とアメリカテキサス州カリスバーグ小学校との昆虫調査を通した交流に貢献することができた。 (2)これまでインターネット上のみで公開していた検索システムを、野外フィールドにおいても活用できるよう「プラスチック製下敷き」を作成した。その結果、パソコンを利用できないような場所においても、昆虫の名前調べが容易に実施できるようになった。 (3)脈翅目(=アミメカゲロウ目)、鱗翅目(=チョウ目)、膜翅目(=ハチ目)といった主要な昆虫目については、科(Family)のレベルまで検索できるようなシステムを試作した。 (4)日常的に環境教育の実践の場として活用している仙台市青葉山地域において、昆虫類と密接な関わりをもつ植物、キノコ(菌類)、哺乳類、鳥類、両生類、爬虫類に関する基礎データを整理した。その結果、昆虫をきっかけにして芽生えた自然への興味・関心を生態系全体に広げ、相互関係を有機的に理解するための舞台を整えることができた。
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