研究概要 |
昨年度までに,日本、および米国の教育内容と教科の目標(数学、科学、技術)についての比較・分析を行ってきた。また,海外調査,文献調査によって,カリキュラムの妥当性を保証する根拠となるキーコンセプトを抽出し,小学校、中学校の各学年を対象として設定しうる工学的問題を選定を行った。本年度は,それらの研究結果の上に,学習で用いられる効果的な主教材の開発と学校での一部実践について試行を行った。 カリキュラム開発にあっては,数学、理科、技術それぞれの学習内容に含まれるキーコンセプトを抽出し、それぞれの分野で育まれるであろう知識、能力を活用して問題解決を図る題材の在り方について検討した。そして,エネルギ変換に関わる問題(太陽熱、風力の利用など),材料や資源の利用に関する問題,食料生産や農業に関する問題,情報技術と通信に関する問題のような工学的な問題を取り上げることにより,現行の学習指導要領との関係維持や工学的な問題解決学習の展開に有効であることを見いだした。また,座学中心ではなく,ものを生み出す創造の過程に数学、科学、技術それぞれのアプローチ(特徴的な思考方法、概念、スキル)が必要に応じて適用する問題解決が学習の中心に据えられることの重要性を明らかにした。 カリキュラムの試行にあたっては,中学校段階の各学年を想定した学習モジュールごとに検討し,「資源の有効利用」,「自然エネルギの変換」,「植物工場」,「福祉社会の技術」の4つを想定し,そのうち前者の2つについてカリキュラムの骨子と具体的な教材の開発を行うとともに,東京都内の中学校2校の協力の下,具体的な実践と授業評価のためのデータ分析を行った。また,「植物工場」モジュールについては,カリキュラムに必要な基礎実験を試み,非常に良い成果を挙げることができた。
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