本年度は、本研究で開発をおこなっている協同開発演習支援システムCODELESSが対象とする実験講義「システム開発実験」での実運用を前期でおこない、この運用からのフィードバックを図った。「システム開発実験」の対象学生は学部学生2年生約40名で、これを8名ずつ5チームに分けて開発させた。使用言語はJava、開発環境はEclipse、バージョン管理システムとしてCVS、テスティングフレームワークとしてJUnitを使用している。開発プロセスとしては簡易型のアジャイルプロセスを用い、テスト駆動開発で開発をおこなうよう指導した。 これまでCODELESSの開発をおこなってきたが、実運用にあたっても大幅な変更をおこなった。具体的には、LMS(Learning Management System)としてMoodleを採用した。これは、CODELESSのツールがばらばらに開発されており、統合化を図る必要があったことと、LMSの導入が大学として図られつつあることに対応したものである。プロジェクト管理システムも検討されたが、機能が多すぎるということから見合わされた。LMSを採用した結果、実運用にあたっては、プロジェクト管理機能の追加が必要であることが明確になった。 このMoodleとCODELESSとの連携を図るために、Moodleをフロントエンドとして本システムの大幅な書き換えをおこなった。具体的には、Per1で開発されていたツールのいくつかをNoodleの開発言語であるPHPへ移植した。また、Moodleのユーザ管理機能を使ったツールの拡張をおこなった。「CVS作業状況閲覧ツール」の再構築はこの典型例である。 これに加えて、ツールの拡張もおこなった。テスト駆動開発の演習をおこなうにあたって、テンプレート生成機能を「自動テスト支援ツール」として実現していた。これを拡張して「テスト駆動開発学習支援環境」として再構築した。また、座学の講義である「オブジェクト指向開発」で用いたUML図をオンラインでも閲覧するためのツール、「UML図閲覧ツール」の開発もおこなった。これについては現状クラス図のみに対応している。 プロジェクト管理機能の欠如からくる問題点として、進捗管理が実運用でも指摘された。具体的には、今誰がどの問題を担当していて、現状どの程度進展しているかを把握する機能がないということである。これを解決するために、「進捗管理ツール」の新規開発・組込みをおこなった。
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