Web上の共有マルチメディア教材を利用した対話型インストラクションシステムの開発として、本年度は、1.多地点双方向対応通信プロトコルの開発とこれによるシステムの拡張、2.対話型インストラクションのための授業設計プロセスモデルの明確化と授業設計高度化手法提案、および、3.活性化拡散モデルに基づくマルチメディア教材データ推薦システムの実装を行なった。 1.では、多地点からの参加が可能な対話型遠隔授業のための通信プロトコルを開発し、これによるシステムの拡張を行なうとともに、その実証実験を行なった。その結果、開発した通信プロトコルにより、複数の大容量のマルチメディア教材を利用した遠隔授業においても低帯域の通信容量で円滑な授業を実施できることを確認した。 2.では、本研究で開発するシステムによる効果的な授業の実施のために、昨年度提案した授業設計プロセスモデルを授業シナリオの記述とその実施の形式で明確化するとともに、これに基づく授業設計高度化のための授業計画と実施内容の差異に着目した授業評価手法の提案を行ない、その有効性に関する予備調査を行った。その結果、対話的な授業展開により生じる授業計画と実施内容の差異を確認することで、効率的かつ効果的な授業評価を可能とし、次回授業の設計の高度化に活用できることを確認した。 3.では、昨年度に提案した活性化拡散モデルに基づき、博物館のwebサイトで提供されるデジタルアーカイブを例とした教材データ推薦システムの実装を行なった。その結果、提案手法の実現可能性、ならびにweb上で多数提供される共有マルチメディア教材データの中から、活性化拡散モデルに基づき個人の学習目的に応じて必要とする教材データを容易に発見し、活用できることを確認した.
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