本研究は、主に通信衛星を利用した遠隔教育において、板書される内容を自動的に画像データとしてとりこむ板書自動スクリプティングシステムを開発することを目的とした。 まず、本研究では講師が遠隔教育においてどのような形態で講義を行っているかを分析し、システム設計のための基本的な方針の作成を行った。遠隔教育においては、板書を中心とする形態とコンピュータ上のプレゼンテーションソフトウェアによる提示資料を中心とする形態が想定されるが、本年度は板書を行う場合のみを想定し、固定カメラ1台による画像取得と、購入した画像処理ソフトウェアによる動画像処理の基本的検討およびソフトウェアの仕様の設計を行った。 実際にグリーンマーカーボードで板書による模擬的な講義を行い、この様子を購入した高精細ビデオカメラにより、固定地点からの動画として撮影した。この際、購入した小型液晶モニターにより講師自身が撮影画像を確認しながら行えるようにした。撮影した模擬講義の動画を、購入したコンピュータで取り込み、連続的な静止画データに変換するソフトウェアを作成し、画像処理ソフトウェアで解析を行えるようにした。これを、画像処理ソフトウェアで解析し、画像間の差分を検出する手法や画像間の相関を計算する手法等により、スクリプティングとしての板書録(連続した静止画像)を生成する手法を検討した。さらに、webサーバー上にこれを公開して、簡単に画像を公開する方法について検討した。 複数カメラへの対応、実用的な処理速度のソフトウェアの完成および実際の講師による講義画像の処理と、システムの評価は来年度の課題となる。
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