本年度の研究目的として、(1)Webに掲載する情報、特にデジタル写真に焦点を絞り、児童・生徒の個人情報と平等性を考慮した学校における写真管理ツールを開発すること、(2)学校にWebサイト管理システムを導入するひとつの課題として、ユーザの技術的な問題だけではなく使用するユーザの心理的な抵抗があるため、インターネットにおける不安要因の検討を行うこと、の2点を挙げた。この視点の異なる2つの研究をほぼ計画通り遂行できた。 まず、上記(1)に関しては、Web上の学級通信等に掲載されるデジタル写真の児童・生徒の個人情報と平等性を考慮したメタデータを作成し、それを組み込んだシステムを開発した。メタデータについては、被写体の位置や掲載人数等の客観的な観点から存在感や個人識別度合という主観的なものを数値化した。この結果は、現在執筆中であり、論文誌等に投稿予定している。またシステムについても若干の改良を加えて、夏頃までには論文を投稿する予定である。 次に上記(2)のインターネットにおける不安要因の検討であるが、インターネット不安尺度は存在しないことから、コンピュータ不安尺度やインターネット不安の概念を参考に、4因子14項目からなる尺度を開発した。これについては、教育システム情報学会の全国大会とシンガポールで行われた国際会議で発表した。ただし、第1版として作成した尺度であることなどから信頼性が少し低いため、第2版を作りたいと考えており、来年度の目標の一つとしたい。 最後に、研究当初から行っているCMSツールを用いた実践運用であるが、本年度も幸田中学校で行った。その結果の一部については紀要に掲載され、また残りの部分については投稿中である。
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