本研究は工学とデザインの分野で開発されたシナリオ分析手法に着目し、検討するとともにその手法を教育現場へ応用し、フィールド実践にあわせたデザイン過程の方法論を開発することを目的としている。 最終年度にあたる本年度は、(1)本研究で注目しているフィールドデザイン手法「シナリオ・ベースド・デザイン」を実践するため、シナリオ・エクスチェンジ・プロジェクトという台湾との国際共同フィールドデザインプロセスワークショップに参加した。文化の異なる国際フィールド間におけるデザインプロセスを経験するときのシナリオ手法の有効性にっいて、実践を通じて検証した。シナリオはデザインするモノ・コトを具体的文脈・状況・それぞれの文化に埋め込まれたものとして想定することを可能にした。本実践成果は、ヒューマンインタフェースシンポジウム2006で発表し、学術奨励賞を受賞した。(2)本研究の応用として、教育現場における参加・共有型デザインを実現すべく、シナリオ・ベースド・デザイン手法に基づく観察ツールの提案を行い、日本教育心理学会第48回大会で発表した。(3)さらに、日本保育学会第59回大会において、保育現場における(1)実践観察:問題点への気づき→(2)問題や出来事の共有・カンファレンス:観察者と実践者とのコミュニケーション→(3)シナリオの記述:共有した出来事から新たなシナリオを構築→(4)新たな実践へのデザインという教育フィールドにおける実践の省察循環モデルの提案を行った。
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