本研究は、主として文系の学生が、教師の言われるままに手を動かすだけの受身的情報活用から、如何にして、主体的に情報活用能力を獲得していくかの心理的変容を見出すことを目的としている。 この研究のために、研究者が考案したマルチメディア企画法という情報授業手法を用いた。企画法では、マルチメディア商品の企画と広報という2つの側面を実体験させ、中間の実装という手順を省略し、文系学生や中高生にも応用が可能な手法である。 その際、学生が企画立案の最初の段階に4ページの手書きスケッチを描く。最後に広報用パンフレットをPCを駆使して作成する。企画スケッチ自体には、学生のマルチメディアに対する理解が反映され、パンフレットには、その学生の情報活用能力が反映される。また両者を比較することで、学生の思いと能力のギャップを測定することができる。学生に事前、事後のアンケートを行い、課題遂行中にどのような情報活用能力に対する自己認識の変容がおこなわれているかの基礎となるデータを収集した。 製作途中における企画案の遂行をオンラインで行えるような簡易的なデジタル・ポートフォリオ(企画書の立案と作成(企画書相互評価システム))を構築した。しかし、現状では、BBS等の文字ベースの機能しか実装できなかったため、画像等をオンラインで扱える仕組みが平成17年度の課題となる。また、うまく実際に行われる授業と連携させる運用上の手法についてもまだ充分とはいえなかった。企画前に、マルチメディアに関する知識伝授とマルチメディアソフト体験をさせた。マルチメディアソフトとは何かについて基本的な知識と、実際にマルチメディアソフトを多く体験させることで理解させる。この経験がどのように情報活用能力の自己意識変容に寄与してくかは今後のデータ分析による。
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