研究課題
ネットワークを介した遠隔地手話コミュニケーションの実際的な課題について研究を行なった。まず画像フレームメモリを用いて、ネットワーク画像通信時に起こりうる画質劣化、時間遅延、コマ落ちなどの通信障害を仮想的に発生させ、そのような状況における手話コミュニケーションの可否について評価を行なった。その結果、画質劣化や時間遅延の問題については、当然のことながら画質劣化や時間遅延は少ない方が良いが、十分な通信品質を確保できない場合でも、被験者である聴覚障害者が手話を大きくしたりゆっくりにしたりするなど、表現を変えることによりある程度柔軟に対応することができることが分かった。また、コマ落ちの問題については、自分が表出した手話画像のうち、相手にどの部分の画像が届いていないのかが分からないので、互いに何が分からないのかが分からないといった状況が生じることが分かった。手話によるこのような行き違いは大変大きな問題であるので、このような行き違いを低減する方法については、今後さらに研究を進める必要がある。以上の結果を踏まえ、遠隔地での手話コミュニケーションの問題に関して、実際の通信状況についての検討を行なった。筑波技術大学(茨城県つくば市)と名瀬小学校難聴通級指導教室(鹿児島県名瀬市)とをインターネットで接続し、手話を用いたコミュニケーションの実際の状況を確認した。その結果、実験状況と同様にランダムに起こる様々な通信障害にも柔軟に対応する様子が確認できた。また、手話画像だけではなく、補聴器で音声情報を利用している聴覚障害者にとっては、音声の質や映像との対応の情報なども重要であることなども分かった。これらはさらなる研究課題である。また、遠隔地交流授業などでは、広い範囲に点在する手話の動きを相手側に送信する必要がある。そこで、挙手動作により発言者を特定し、そこにカメラを向けるシステムの開発も試みた。
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電子情報通信学会技術研究報告,WIT2005-71 Vol.105 No.508
ページ: 67-72
電子情報通信学会技術研究報告,WIT2005-20 Vol.105 No.67
ページ: 49-54