研究概要 |
今年度は下記の事項に関して研究開発を行った. 1.「音声から文字に変換する担当者」の養成プログラムの構築を目指し,その検証実験を開始した.音声認識技術を利用する場合,健聴者の発話音声を正確に聞き取り,音声認識ソフトウェアに適合した発話方法で復唱する技能には,まだまだ訓練を要する段階であるためである.音声や通訳などの特別な技能を有さない一般の健聴者を3名短期雇用し,基礎的なデータが取れ始めたところである.次年度はさらに研究を進め,復唱者養成手法を明確化させて行きたい.また,字幕作成担当者によって生成される字幕の精度は,コミュニケーションの厳密性に大きく影響を与える.特に個人レベルで強く求められる利用局面としては,会議でのディスカッションや1対1の商談・会議予定の確認等が挙げられる.このような局面では,字幕の間違いをその場で指摘できる健聴者は発話者以外にいない.発話者(商談等の相手)に情報保障に関する負担を軽減することは重要な課題である.このために,字幕精度を上げるための様々な研究も実施した. (これらの事項に関しては,本研究実績報告書に記載の3つの研究発表にて報告済みである.) 2.インターネット回線を利用して,簡便に利用可能な音声・ビデオ・文字情報を相互に通信できるシステムの構築を試みた.このシステムは小型携帯端末と,ブロードバンド環境を介して行われる字幕作成に関する大規模な連携作業を繋ぐために必要なシステムである.次年度は,このシステムを小型携帯端末に対応させ,個人レベルのリアルタイム字幕サービスにおける様々な問題点,特に字幕手時のタイムラグによる対話への影響,聴覚障害者側からの表出の問題点に関して研究を進める予定である.
|