3ヵ年の継続研究である本研究の初年度として「フランスにおける文書調査及び調査データの解析・翻訳作業」を行った。 フランス渡航前の準備作業として、研究代表者である山名の博士論文「シュワルツ・オモン社の特許・生産技術・施工技術を通しての温室技術の史的解明1919-1977」(パリ大学Iパンテオン・ソルボンヌ校)における未解明部分で、本研究のテーマと成り得る所を博士論文作成時の資料により整理を行った。同時にフランス国立アーカイブ、フランス文化省文化財課、ヴィトラ家具美術館などと連絡をとり、フランスにおける資料調査の方向性の検討を行った。 併行して、シュワルツ・オモン社と同様の正確を持ち、比較対照となりうるフランスの金属建築分野における工業化を推進させた「ジャン・プルーヴェ社」に関する史的解明研究の国際チーム(ヴィトラ家具美術館/スイス、バーゼル)にも参加し、研究成果論文集の日本語版の出版に際し、その翻訳及び監修を行った。これにより20世紀フランスにおける建設工業化過程を理解する日本語による研究資料を充実させることができ、また、ジャン・プルーヴェ社と比較分析することによりシュワルツ・オモン社における建設工業化過程の特異性の一部を明らかにすることが出来るようになった。 この様な準備をもとに、1月3日-10日、及び2月13日-20日の2回、フランス及びスイスにおいて現地調査を行った。現地調査においてはシュワルツ・オモン社に関する資料調査、その背景となるフランス建設工業化過程を理解するための資料調査、また研究者、アーカイブ機関、建設業界団体、技術審査機関に対して聞き取り調査を行った。また、本研究の平成17年度の調査となる、南米及び北アフリカ諸国の建設工業化を理解するためのフランスにおける先行研究資料の収集を行った。 以上により、当初、研究計画において提示した初年度の研究計画はおよそ実施され、平成17年度の研究計画を実施することが可能となりました。
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