研究概要 |
濃尾平野内陸部における既存ボーリング柱状図を収集し,その特徴を把握した.その結果,とくに長良川と揖斐川に挟まれる岐阜県墨俣町や安八町において,地表から深度7-8m付近まで泥層が厚く累重していることがわかった.この泥層の特徴や泥層とその下位の堆積物との関係を明らかにすることで河成低地の発達過程を検討できる可能性がある.また,沖積層基底礫層は深度17-26mにみられた.この直上の堆積物を対象とした年代測定ができれば,海岸部の沖積層基底礫層の堆積時期とのギャップを推定することができる. そこでこの結果にもとづき,墨俣町の後背湿地(標高約5m)において機械ボーリングによりコア堆積物を採取した.既存柱状図から予想した通り,地表から掘削深度6-8m付近まで泥が厚く堆積していた.また,掘削深度約25mで沖積層基底礫層に到達した.地表から続く泥のすぐ下位には礫を含む砂質堆積物がみられた.このことは,かつてこの地点に河道が通過しており,この河道が放棄された後,河川氾濫時に運ばれた泥により旧河道の埋積が進んできたことを示唆する.採取した堆積物については,カラー写真撮影や軟X線写真撮影,土色計(KONICA-MINOLTA製SPAD-503)による色調測定,放射性炭素年代測定をおこなった.今後,これらのデータを解析して河道の埋積時期や基底礫層の堆積時期などについて検討したい.また,この結果をもとに既存ボーリング資料を堆積学的な視点から再検討する.
|