研究概要 |
1.秋田県北部の米代川流域において1982年、1984年、2000年、2002年に採取した22地点の水田土壌を対象に、土壌中に含まれるダイオキシン類等11種類の残留性有機汚染物質(POPs)および2種類の農薬(PCP,CNP)の濃度を測定した。POPsの経年変化、発生源、物質収支、残存傾向などについて調べた。 主な成果は以下のとおり (1)主成分分析などの多変量解析の方法により、水田土壌中に含まれる高濃度のダイオキシン類は2種類の農薬(PCP、CNP)に含まれていた不純物としてのダイオキシン類が起源であることが明らかとなった。 (2)1980年代前半から2000年代前半の約20年間にダイオキシン類以外の残留性有機汚染物質の濃度は大幅な減少傾向であったが、ダイオキシン類濃度は顕著な減少が見られなかった。 (3)米代川流域全体へのダイオキシン類およびダイオキシン類含有農薬(PCP,CNP)の過去から現在までの累積投入量と現在の残留量を見積もり比較したところ、農薬は99%以上が水田土壌から消失していたが、ダイオキシン類は投入量の大半が残存していることが明らかとなった。 (4)水田土壌への物質の残存しやすさは、水への溶解度の低さ、有機物への分配傾向の高さ、揮発性の低さに強い関係を持っており、それらの性質を併せ持つダイオキシン類は今後も長期間水田土壌中に残存し続けることが予測された。 2.信濃川と阿賀野川の下流に挟まれた輪中地域である亀田郷を対象に、亀田郷を集水域とする鳥屋野潟で採取した底質コアと亀田郷内の水田土壌に含まれるダイオキシン類およびPCP,CNPの濃度を測定した。鳥屋野潟の底質コアの堆積年代は同位体法により測定した。亀田郷におけるダイオキシン類汚染の経年変化、発生源解析、物質収支解析を行った。
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