微小動物プランクトン糞粒に関する定性的な理解と物質循環に果す定量的な把握を目的として、珪藻食微小動物プランクトンの出現が予想される三陸沖親潮・混合域に調査ラインを設置し、平成16年10月に第一回目の調査を実施した。この調査は独立行政法人水産総合研究センターが実施している西部北太平洋親潮・混合域モニタリングWK0409航海にあわせて行なわれた。本航海での観測・実験内容は以下の通りである。1)珪藻食微小動物プランクトンおよびその糞粒の現存量調査2)排流に関わる生理パラメータ(増殖、摂餌率)3)糞粒の沈降量測定 調査では水温、塩分、光量子などの物理環境パラメータの測定と、バンドン型採水器による各層採水、およびプランクトンネットの鉛直曳きによる動物プランクトン採薬を行った。得られた海水試料はプランクトンとその糞粒の組成・現存量測定のほか、クロロフィル量、栄養塩濃度の分析に供した。また、航海中に漂流式セディメントトラップを設置し、糞粒沈降量を測定した。試料は現在解析中である。 また、これに平行して本年度は西部亜寒帯太平洋HNLC海域における鉄散布案験(SEEDS)で得られたサンプルを分析した。その結果、当案験海域では珪藻の連鎖群体を丸呑みする渦鞭毛藻が大量に出現し、鉄散布によって引き起こされた珪藻ブルームの終焉を支配していたことが明らかとなった。この成果の一部はすでにProgress in Oceanographyに投稿し、受理されている。
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