研究概要 |
インドネシア・中央カリマンタンの火災被害跡泥炭地における地表面スペクトルを3ヵ年(2003-2005年)に渡り行った。スペクトルデータサンプリングは1997年および2000年に泥炭火災の影響を受けた地域(カランパンガン:2° 9' 24" S,114° 01' 00" E)において、衛星画像データとのリンクを図るため午前中に行った。計測は基本的に晴天日に行ったが、散乱光環境における地表面反射特性の変化を確認するため、曇天日においても行った。対象地域に50m×40m方形区を設定し、更にこの方形区を10mグリッドに細区分した。この20グリッドの中心点において視野角25oでスペクトル計測を行った。取得データはハイパースペクトルデータ(325_1,075nm)であるが、LANDSAT衛星データなどの波長バンドに対応させるため、青・緑・赤・近赤外線の4バンドに集約した。これらバンド反射率値は光環境条件の違いによる影響を除去するために全バンド反射率総和に対する比率値に変換し、この値を正規化反射率値とした。これら各バンドの正規化反射率値およびエンドメンバー反射パターン(植物葉、土壌、水)を用い、正規化差植生指数(NDVI)パターン展開係数値を算出した。 解析の結果、泥炭表層の土壌水分量と土壌パターン展開係数値との間に負の相関関係(r=0.7)が確認された。晴天日と曇天日測定の違いによる以下のような正規化反射特性が確認された。1)曇天日の値が比較的、青色バンドにおいて小さく、近赤外バンドにおいて大きい値になることが明らかになった。2)青色・赤色・近赤外線バンドにおいては曇天日の値から晴天日の値を回帰式により推定できることが明らかになった(r^2=0.77-0.87)。3)NDVI値に関して、晴天・曇天の違いによる変化は顕著でないことが明らかになった。また3ヵ年に渡るNDVIの変化をモニタリングした結果、植皮サンプリング地点(11地点)におけるNDVIの平均値は、2004年(0.51)から2006年(0.69)有意な増加(P<0.001)が認められた。今後は、このNDVI増加をASTERなどの衛星画像により検証し、さらにMODISなどの多時期衛星画像に適応することにより、中央カリマンタンにおける森林回復のモニタリングを行う。
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