研究課題
本年度は、地方環境税等を題材とした便益移転手法に改良を加えるとともに、追加的にCVM調査及びオークション実験、回避支出法による分析を実施した。2004年度に実施した高知県と岡山県、鳥取県の3県を対象とした表明選好法(CVM及びコンジョイント分析)によるWTP評価のためのアンケート調査結果を分析した。昨年度の分析に適用したWTPの点推定値と信頼区間に基づくオーバーラップ・クライテリア手法よりも精度の高い手法であるコンボリューションズ手法により便益移転可能性を検証した。その結果、地方環境税導入後一定の期間を経過している高知県にのみ特異な結果が得られており、WTPには税導入のアナウンス効果が影響していることを明らかにした。また、2006年度より税が導入される滋賀県において調査を実施したところ、他3県よりも有意に低い結果が得られた。このことから、地域の森林資源賦存量や水源としての重要性等に関する認識の差違もWTPに影響するのではないかとのことが示唆された。便益移転を実施する際に考慮すべき外生的要因と内生的要因について明らかとなった。また、水道水利用に関しては、ミネラルウォーターや浄水器への回避支出に基づく便益評価手法とコンジョイント分析に関する調査を実施した。その結果、回避支出法は実際の消費者データに基づき、豊富な情報量を提供してくれるものの、多様な消費者行動を把握するための分析モデルの開発が必要であり、コンジョイント分析の方が頑健な結果を提供することが、現在までの分析結果から判明した。さらに、不特定多数への郵送アンケート調査ではなく、少数(10名前後)の被験者を1カ所に集め、WTPに関するオークション実験を実施し、便益移転への利用可能性について検討した。オークション実験及び回避支出法を適用した便益移転手法の開発を行っている。
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