本年度は、微生物の多様性評価のためのT-RFLP解析条件、物質循環ポテンシャル評価のためのReal-Time PCR条件の最適化を中心として、測定項目の分析・解析手法の検討に重点をおいて研究を進めた。また、2年分のデータ蓄積の初年度として、琵琶湖から淀川河口域に至る淀川水系全体の12ヶ所から採取したサンプルについて、窒素循環微生物や微生物群集構造の解析を行った。 微生物多様性の評価手法の開発については、PCR-DGGE解析ならびにT-RFLP解析による微生物多様性の評価を試みた。解析のための最適条件(PCR条件、制限酵素の選定、得られたT-RFLPパターンの解析等)、得られたT-RFLPパターンに基づいて微生物種の同定が可能であることを確認した。また、PCR-DGGE解析結果に基づいて、Shannon-Weaver IndexやSimpson Indexによる、微生物多様性の数値化が可能であることを確認した。一方、物質循環ポテンシャルの評価手法の開発については、Real-Time PCRによって窒素循環や芳香族化合物分解を担う機能遺伝子(amoA、nirK、nirS、C120遺伝子、C230遺伝子)の定量条件を最適化した。これによって、各種物質の循環ポテンシャルを分解遺伝子数という形で数値化可能であることを確認した。また淀川水系の各サンプリングポイントのデータを季節ごとに4回分蓄積することができた。
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