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2005 年度 実績報告書

外来種の排除が在来生物群集に及ぼす影響評価:外来魚の駆除は有効か?

研究課題

研究課題/領域番号 16710022
研究機関山口県立大学

研究代表者

谷口 義則  山口県立大学, 生活科学部生活環境学科, 助教授 (30316145)

キーワード外来種 / ブルーギル / ブラックバス / 駆除 / 生態系への波及効果 / 動物プランクトン群集 / 捕食 / 種間競争
研究概要

調査水域では、主に魚類ではブルーギル、フナ、ドンコが、両生類ではウシガエル(幼生)、ツチガエル、(幼生)が、甲殻類ではヌマエビが採捕された。動物プランクトンでは、ゾウミジンコ科、シダ属、マルミジンコ科、ミジンコ科、カラヌス目、ケンミジンコ目が出現した。
ブルーギル個体群の抑制は、動物プランクトン群集に著しい変化をもたらしたものと考えられる。前年の2004年度8月-2005年1月期の動物プランクトン出現データと比較した結果、ほとんど出現していなかったケンミジンコとシダがブルーギル抑制後に初めて確認された。さらに、ピーク時で、マルミジンコ属はブルーギル抑制後6倍に、ゾウミジンコ科は120倍に、ケンミジンコ目は約50倍にそれぞれ増加した。一方、シダと体サイズが類似するミジンコ科(主にカブトミジンコ類)は減少した。このことは、後者が前者から餌資源(植物プランクトン等)をめぐる競争の影響を強く受けていたことに起因するものと推測された。
ブルーギル個体群の減少とこれにともなって起こる動物プランクトン群集の変化は、在来魚類、両生類及び甲殻類の種間関係にも影響を及ぼすものと考えられるが、現時点では十分なデータは得られていない。しかしながら、ブルーギルの個体群を(一時的にでも)低減することにより、小規模水域において動物プランクトン群集が鋭敏な応答を示すことが示唆されたことから、状況によって溜め池の水抜きが不可能に近い場合等に、ブルーギル個体群の抑制が一定の効果を生む可能性を示されたものと考える。
以上の結果から、ブルーギルがキーストーン種となっている水域が多いなか、本種の取り除きが小規模かつ浅い水域で行われれば、駆除がある程度限定的であっても動物プランクトンの生息密度の増大に寄与し、さらに長期的には同所的に生息する在来水生昆虫及び魚類等に波及効果をもたらす可能性があることが示された。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2006 2005

すべて 雑誌論文 (3件)

  • [雑誌論文] Origin and dispersal of bluegill, Lepomis macrochirus, in Japan and Korea.2006

    • 著者名/発表者名
      Kawamura, K., R.Yonekura, O.Katano, Y.Taniguchi, K.Saitoh
    • 雑誌名

      Molecular Ecology 15

      ページ: 613-621

  • [雑誌論文] Fish reintroductions reveal smooth transitions between lake community states2006

    • 著者名/発表者名
      Mittelbach, G.G., E.A.Garcia, Y.Taniguchi.
    • 雑誌名

      Ecology 87

      ページ: 312-318

  • [雑誌論文] 自然保護委員会が行ったサンフィッシュ科3種による被害実例 アンケートの結果報告2005

    • 著者名/発表者名
      淀太我, 向井貴彦, 谷口義則, 中井克樹, 瀬能宏, 丸山隆.
    • 雑誌名

      魚類学雑誌 52巻

      ページ: 74-80

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公開日: 2007-04-02   更新日: 2016-04-21  

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