研究概要 |
本研究では、重金属(本実験ではPb,Zn)が高濃度で濃縮し,それらの形態がコスト的に有利な金属回収方法((1)水洗濃縮法、(2)水抽出法)で回収可能な形態となる最適な溶融条件を求めることを目的に,溶融温度,炉内雰囲気,飛灰性状を変化させ,それらが重金属の飛灰への移行と形態に与える影響について検討を実施した.溶融炉を電気管状炉により模擬し、そこで試料を溶融して飛灰を発生させ,フィルタや燃焼管出口付近で採取された溶融飛灰を分析し,溶融条件の変化に対してどのように溶融飛灰の性状が変化するかを調べた。飛灰の性状については,(1)各金属がどれだけ試料から溶融飛灰へ移行したか(移行率),(2)化合物形態が水溶性か難水溶性か(化合物形態)という観点から分析した.分析結果から,a)溶融飛灰へのPb,Znの高い移行、不純物の少い移行を評価するとともに、b)化合物形態から、(1)水洗濃縮法、(2)水抽出法のそれぞれに適した溶融炉運転条件を整理した.最終的に,簡易なシステムで飛灰中の金属濃縮が可能な溶融飛灰を精製させる条件は,(1)水洗濃縮法を意図した場合:溶融対象物を,中性飛灰と焼却飛灰の混合物とし,雰囲気をN2雰囲気(中性雰囲気),溶融温度を1400℃以下とする.(2)水抽出法による濃縮を意図した場合:溶融対象物を消石灰吹き込み飛灰と焼却灰の混合灰とし,雰囲気をN2雰囲気(中性雰囲気),溶融温度を1400℃以下とするということが明らかとなった.
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