研究課題
本研究では、残渣系バイオマスの高効率再資源化技術の実用化を志向した反応及び分離・精製技術の開発を行い、経済的かつ低環境負荷プロセスの構築を目的としている。今年度は、反応技術、分離技術に関して以下のような成果を得た。反応技術に関しては、昨年度製作した流通式反応装置を用いて、バイオマス多糖から高収率で糖類を回収するために必要な、中間生成物の熱安定性試験を行なった。原料には、バイオマスの主成分の一つであるセルロースやヘミセルロースの構成糖(グルコース、フルクトース、キシロース)を用いて、原料濃度、温度、圧力、滞留時間などを幅広く変化させ、糖類の分解率及び生成物分布に与える諸因子効果を調べた。結果、五炭糖であるキシロースと六炭糖であるグルコースやフルクトースとでは熱安定性に差異が見られ、バイオマスの亜臨界水処理において処理温度の操作によりヘミセルロース由来の糖類、セルロース由来の糖類を効率的に回収する条件を推定し得ることがわかった。温度250℃近傍、飽和蒸気圧以上における水熱電解実験も行い、1-ブタノールやグルコース、フルフラールといった原料の反応挙動を追跡した。結果、1-ブタノールは当該処理によりブタナール、酪酸に転化するとともに、水素を発生すること、他の原料では脱水反応が抑制されることを見出した。一方、分離技術に関しては、CCA防腐処理木材表面に含浸している重金属類の亜臨界抽出除去に関する検討を昨年度に引き続き実施した。実験には半回分式装置を用い、広範な温度、圧力および通水時間条件において重金属類(銅、クロム、ヒ素)の抽出挙動を追跡した。その結果、抽出温度を操作することにより、銅については80%程度の抽出率を得たが、他の成分の抽出効率は増大させることができなかった。今後、配管への金属種の付着抑制、処理量の増大などについて検討するとともに、金属類の抽出メカニズムの解明を目指す。
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