研究概要 |
常温等の低エネルギー投入条件下、土壌に分散したダイオキシン類(DXNs)の高効率な無害化に成功した。無害化プロセスは、土壌から有害物質の抽出と抽出液の分解処理を組み合わせた手法(以下、プロセスA)、ならびに、触媒を添加する抽出プロセスを必要としない分解処理手法(プロセスB)である。以下、その概略を示す。 先ず土壌の性質を把握すべく、粒度分布測定、CEC測定、比表面積の測定、及び含水率の把握を行った。次に、2-クロロビフェニルや4-クロロアニソールを混合してモデル汚染土壌を作製し、上記の2法に適用した。 プロセスAについては、アルコールの種類、流速、総流量、固液比、温度、及び超音波照射の有無の影響把握を検討し、最大で98%の抽出率を達成した。また、常温常圧条件下、その分解反応も金属Caを用いで99%以上の分解率を達成した。分解物として、脱塩素化合物や一部芳香環が還元された生成物が生じた。 プロセスBについては、反応時間、撹拌方法、薬剤投入量等の最適化を行った。触媒としてPd/Cが効果的であることが判明した。Pd/Cと金属Caの共存下、それぞれ単独で使用したよりも極めて効果的に還元反応が進行することが分かった。 次に、焼却飛灰から抽出したダイオキシンを土壌にスパイクして分解試料とした。プロセスAによる処理後、初期濃度5,000pgTEQ/gがおよそ94%抽出され、次いで、抽出液を99%以上の効率で分解した。また、プロセスBによる処理では、処理後24pgTEQ/gまで無害化することに成功した。この反応では、固体内部に吸着したDXNs(例えば焼却飛灰等の混合土壌)も99%以上の効率で分解可能であることが分かった。
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