昨年度に実施された研究成果を元にして、廃棄物最終処分場浸出水において高頻度で検出される有害化学物質群を対象とした、分解、代謝、なたびに耐性関連遺伝子群をWeb上のデータベースより選抜し、簡易DNAマイクロアレイを作成した。廃棄物最終処分場浸出水より核酸を抽出および濃縮・精製し、マイクロアレイにハイブリダイズ可能な量および純度のDNAを得た。精製プロセスとして、膜分離、ゲルろ過、および磁性抽出等の有効性について検討した結果、膜分離または磁性抽出プロセスの単一処理で、その後のマイクロアレイ評価に充分適用可能な純度のDNAが得られることが明らかにされた。得られた抽出DNAを用いて、作成した簡易マイクロアレイによる評価を行った。その結果、DNA抽出源である埋立地浸出水の性状に応じて、異なる発現プロファイルパターンが確認されたことから、最終処分場の環境汚染修復ポテンシャルの評価に適用可能であることが示された。総じて、個別化学物質の検出濃度が高いほど、発現輝度が高い傾向が見られるなど、事前に行った個別の化学物質分解活性に関する予備調査と同様の結果を示し、本研究で構築された簡易DNAマイクロアレイの有効性も確認された。今後は、本アレイを用いた廃棄物最終処分場の評価を幅広く継続し、事例を集積するとともに、迅速かつ簡便な汚染修復ポテンシャルの評価を通じて、廃棄物最終処分場の安全性評価へと結びつける予定である。
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