本研究ではカーボンナノチューブ(CNT)表面への金属ナノ粒子の効率的な担持を試み、いくつかの金属ナノ粒子ハイブリットCNTの作製に成功した。一般的に生成直後のCNT表面は、完全なグラフェン構造をとっているため化学的に不活性であり、金属ナノ粒子はまったく付着しない。そこで本研究では超音波処理によるCNT表面の改質法を見出し、ハイブリットCNTの形成に適用できることを明らかにした。本方法は液体中に分散させたCNTに、強力な超音波を照射することによって欠陥の形成を誘起するものである。この欠陥を有するCNT表面には金属ナノ粒子が効率よく担持することがわかった。金属ナノ粒子は、レーザーアブレーション(LA)法によって形成した。雰囲気ガスの圧力などLAの条件を変化させることにより、金属ナノ粒子のサイズをはじめCNT表面での形態制御もできることを明らかにした。例えばCuやTiとのハイブットCNTの場合、薄膜状、ナノ粒子、鎖状構造そしてナノロッド状などの構造に変化することがわかった。 一方、本研究では化学気相成長法(CVD)法によって表面活性かつ高度に配列したCNTの作製に成功し、金属ナノ粒子ハイブッリトCNT形成への適用についても検討した。その結果LA法によりTi、TiO_2などのナノ粒子が効率よく担持できることがわかった。さらに、LA条件を変化させナノ粒子サイズなどを制御することにより、高度配列形状の特徴をよく反映した、特異な形状を有するハイブリットCNTの作製が可能であることを明らかにした。 これに関連して、CVD法により、いくつかの特異な形状を有するCNTの選択成長が可能であることを明らかにした。例えば、パーマロイ合金のLAで作製した基板を用いて、ストレート中空構造CNTと竹状CNTの作り分けができることや、ITO基板を用いて規則的な円錐形キャビティーを有するCNTの生成に成功した。
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