研究概要 |
本研究は、無機基板上に蒸着した有機半導体薄膜を焼鈍することによって成長するナノ結晶(ナノウィメカー)に及ぼす磁場効果、および成長メカニズムを明らかにすることを目的とした研究を行っている。それに対して本年度は、無磁場下での銅フタロシアニンナノウィスカー(以下、CuPc)の成長、および、コバルトフタロシアニンナノウィスカー(以下、CoPc)の成長についての研究を行い、以下のような成果を得た。 まず、蒸着-焼鈍法により育成されるCuPcナノウィスカーの無磁場下での成長メカニズムついての研究(S.YANAGIYA, et al., Journal of Crystal Growth, to be published)では、CuPcナノウィスカーの配向制御は蒸着の際の膜厚によりなされることや、繰り返し蒸着-焼鈍法(Repeating "Vapor Deposition"-to-"Thermal Treatment" method)を行うことで、配向制御されたCuPcナノウィスカーの長尺化が可能であることを明らかにした。 また、より磁場の効果を強く受けると考えられるコバルトを中心金属に持ったCoPcをKC1(001)基板上で蒸着-焼鈍を行ったところ、銅フタロシアニンの様なナノウィスカーが成長することを明らかにした(S.YANAGIYA et al., Japanese Journal of Applied Physics,43,11A(2004)7722-7724)。しかしながら、そのナノウィスカーは基板に対して配向していなかった。また、蒸着-焼鈍により成長したCuPcナノウィスカー上にCoPcを蒸着-焼鈍を行ったところ、CuPcナノウィスカー上にヘテロエピタキシャル成長したCoPcナノウィスカーが育成できることも明らかにした。
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