研究概要 |
量子サイズ効果によるナノクリスタルシリコンの発光は,その結晶粒径をナノメートル単位で制御することにより得られる.本研究では,ナノクリスタルシリコンをマグネトロン高周波スパッタ法で作製を試みる.平成16年度は,本校に新規に導入されたマグネトロン高周波スパッタ装置の立ち上げを行った.具体的には,装置の仕様を最適化し,その結果を基に様々な箇所の設計を行った.その結果,ナノクリスタルシリコンを作製するための所望の機能をもつ装置を得ることができた.とくに,成長チャンバーの他に,試料を成長室に搬送するための準備室を設け,試料を大気に取り出す毎に成長室を大気圧に戻すことなく,効率よく実験・研究を行えるように考慮したこと,及び最大3つのスパッタ源を設置可能なことが装置の特長としてあげられる. スパッタ装置の立ち上げと並行して,ナノクリスタルシリコンから発光を得るために必要な熱処理を行うアニール装置,及びナノクリスタルシリコン内に残留する結晶欠陥の不活性化に用いる原子状水素生成セルを作製した.アニール装置,及び原子状水素生成セルは,本年度交付された科学研究費補助金で研究代表者自身が設計・作製した.以上の結果,次年度に行うナノクリスタルシリコン内に残留する結晶欠陥の不活性化に関する技術・開発をスムーズに遂行できるよう準備することができた. これらの立ち上げた装置を使って発光するナノクリスタルシリコンの作製を試みている.現段階では,ターゲット材料,成長速度,成長雰囲気,熱処理温度などの作製条件から所望の発光波長を有する最適なサイズのナノクリスタルシリコンの成長を模索している.その評価には,表面段差計,及び走査型電子顕微鏡を用い,光学的特性はフォトルミネッセンス測定装置を用いて作製条件を検討している.
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