金属微粒子に光を照射した場合に局所的に発生する局在表面プラズモン共鳴の効果を利用した光電変換機能性のシート作製のための第一段階として、金属微粒子のサイズ・構造設計、および微粒子の試作を行った。 金属微粒子に、30〜40nm程度の銀微粒子を用いるとした場合、その10nm以内に色素が存在すれば1光照射時に電場増強効果によって効率的に励起できることが計算により明らかとなった。その際に用いることができる色素としては400〜450nmに吸収帯のあるものが好ましく、トリスビピリジンルテニウム錯体やクマリンなどが相応しいといえる。 次に実際に銀微粒子の試作を行った。まず、N-ドデシルアクリルアミドとメタクリル酸の共重合体をマトリクスとした銀微粒子の合成を行った。共重合比により、溶媒への溶解性が異なることが明らかとなった。N-ドデシルアクリルアミドの比率が高くなるにつれて、水への溶解性は低下し、クロロホルムなどの有機溶媒への溶解性が向上した。銀微粒子との反応は、逆ミセル法により行われ、遠心分離でサイズ分離を行った。その結果、400〜420nm付近に吸収ピークを有する銀微粒子分散液を得ることができた。これらの結果は、有機溶媒を利用して銀微粒子をフレキシブルシート上に成膜可能であるということを示唆するものであり、さらに、このマトリクスに導電性高分子をドープして電子のホッピングサイトを導入する予定である。
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