研究課題
本研究は、2次元微小共振器半導体レーザにおいて、共振器の形や電極の形、さらに外部注入光を利用して、発振モードを制御することにより、半導体レーザの多機能化を図ることを目的とする。具体的には、以下の3点について検討を行う。(1)2つの曲面ミラーと2つの側面ミラーでレーザ共振器が構成される微小共振器半導体レーザの発振モードを理論と実験の両面から明らかにする。(2)安定な出力ビームが得られる共振器と電極の形状を明らかにする。(3)外部から光を注入することにより、注入同期現象を利用したモード制御の可能性を検討する。平成17年度は、主に(3)の課題に取り組んだ。具体的には、2つの曲面ミラーと2つの側面ミラーでレーザ共振器が構成される2次元微小共振器半導体レーザを縦に並べたタンデム型レーザを製作して、光注入による発振モードの変化を観測した。レーザの製作には、AlGaAs/GaAs屈折率分布型分離閉じ込めヘテロ構造の単一量子井戸エピタキシャルウエハを使用した。また、2つのレーザがそれぞれ異なったモードでレーザ発振するように電極を設計した。さらに、室温連続動作が可能になるようにAuSnを蒸着したAlNヒートシンクに半導体レーザをマウントした。片方のレーザの注入電流をしきい値電流よりわずかに高くバイアスしておき、異なるモードで発振するもう片方のレーザの注入電流を増加させることで、発振モードのスイッチング現象が観測された。さらに、モードがスイッチした後、2つのレーザの発振波長が一致しており、注入同期現象が生じていることが確認された。本実験により、光注入による2次元微小共振器半導体レーザのモード制御の可能性が示された。
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すべて 雑誌論文 (9件)
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