研究概要 |
平成16年度は,本研究課題が設定した3つの目的のうち,(1)積雪寒冷地における雪処理システムと適正な道路幅員および道路率の関係の解明,(2)雪処理費用に注目した道路の適正整備水準モデルの構築の2つに関連する作業を実施した. 具体的には統計資料調査と除排雪作業の実態調査および理論モデル設計の準備に取り組み,積雪寒冷地域においてコンパクトな都市構造を実現するための道路空間構成モデルと雪処理費用最小化を目的とした適正道路水準の経済モデルを作成した. また研究進行中に今後新たに考慮すべき検討課題として,夏期の冷熱利用,堆雪場の不足や配置の問題,公共交通機関へのモーダルシフト促進など,本研究と密接に関係する事項を発見・整理した. 以上を含めた具体的な今年度の研究実績を以下に示す. 1.主に北海道地域の主要都市における近年の積雪状況,雪処理費用,および冬期間の都市交通問題を調査し,モデル構成要素の対象となる事象を整理・分析した.同時に,実証分析を行う都市・地域の候補を抽出した. 2.札幌市中心部の除雪作業を調査し,写真やビデオ等の資料を収集するとともに,作業担当者へのインタビューを行い,大都市中心部特有の雪処理問題を顕在化した. 3.積雪都市以外の道路空間利用の調査から,研究開始当初は想定していなかった自転車専用レーン(夏期)と堆雪ゾーン(冬期)のコンバーチブルエリアが有効な複合空間利用の選択肢となることが分かった. 4.道路利用実態の調査から,路上駐車や敷地内積雪の道路への排雪,除排雪作業時の交通渋滞などの利用者行動の側面での政策課題を発見した.
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