研究概要 |
本年度は、バイポーラスケールを用いた多基準意思決定問題のモデル構築のための、基礎理論の整備を重点的に行った。具体的には次の通りである; 以下、属性の集合をN={1,【triple bond】,n}とし、属性の集合に対する重視(要)度を表すバイポーラスケールとして、束3^N上の単調な集合関数(双極容量、bi-capacity)を採用した。その上で、 1)双極容量の等価表現として、双極メビウス変換を提案・定義した。 2)双極メビウス変換を通して、双極容量のパラメータ数削減のための概念(k次加法性)を特徴付けた、また、双極容量の加法的分解の可能性に関する必要十分条件を与えた。 3)双極容量(属性の重視(要)度)と属性値からなる、属性に対する効用関数としてChoquetの汎函数を採用した場合の、Choquetの汎函数の等価表現として、双極メビウス表現を示した。 4)属性の集合に対する重視(要)度の属性間での相乗効果(シナジー)のレベルを規定する概念(k次単調性)を、双極メビウス変換を通して特徴付けた。また、通常のメビウス変換を通した特徴付けも行った。 5)双極容量の[-1,1]^n上の連続な関数への区分多重線形拡張を与えた。また、この区分多重線形拡張の偏導関数を通して、双極容量のk次単調性を特徴付け、相乗効果の大きさのレベルを[-1,1]^n上の連続な関数面の傾きのレベルとして捉えることができることを示した。 6)これらを通して、束3^N上の、メビウス変換と双極メビウスの解釈と、その差異およびモチベーションを明らかにした。 これらの成果を、国内外の学会において発表するとともに、国際誌に投稿した(掲載受理済み)。
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