研究代表者達のグループは、意思決定問題の構造化された記述である問題定義の方法として、実体-関連概念をいくつかの点で拡張して利用するGERMアプローチと、このアプローチに基づいた問題定義を、XMLを利用して具現化する方式を提案した。XMLによる記述は、(1)インターネット環境での標準化が進み、汎用性が高く情報共有および情報交換の仕組みに適している、(2)既存のパーサが利用可能であり独自の言語解析プログラムを必要としない、(3)木構造であり、提案するGERMアプローチによる問題記述との親和性が高い、などの利点がある。提案するXML記述は、問題の型を記述するオブジェクト型レベルと、具体例を記述するインスタンスレベルに分けられる。 この観点から、GERMの応用可能性についてサーベイを行った。 第一に、AMPL、MPL等の代数的モデル記述言語の拡張について、その特徴と問題点を整理した。第二に、スケジューリングの分野に特化した問題定義の記述様式を提案し、F2//Cmaxの問題定義を示すことで具体的に説明した。さらに、実用的なAPSソフトウェアが解く実際的スケジューリング問題を例として、具体的に問題定義を記述することを通してGERMの特徴と有効性を示した.スケジューリングの分野におけるXML研究についてはPSLXの試みがよく知られているが、研究代表者たちのグループでは、XML技術を援用し、(1)PSLXなどで実現しているような既存ソルバーの入力データの構築、(2)申請者たちの実現したGERMによる問題定義支援システム(CAMMS)で実現した、OR/MS問題の非数学的な問題表現、の双方が実現可能なXMLアプリケーションを開発しているところである。
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