研究概要 |
昨年に引き続き,避難者個々のミクロ的な避難行動が,全体的にどのような挙動を発生させるのかを分析することが可能である,「エージェントベースモデル」を用いて,コンピュータ上での避難シミュレーションを行った.昨年のモデルを参考にし,その適用箇所の拡大と,避難行動のより詳細なモデル構築をした.避難行動を行なう際,昨年までのモデルでは個人の意思決定を主にして避難行動を行なったが,グループ(集団)避難行動としてのアルゴリズムは十分に考慮されていなかった.しかし震災時には単独で避難するものだけでなく,家族・兄弟・近所の人と一緒に避難する者や駅構内・ビル・会社・飲食店から避難する集団も存在する.そこで本年の研究で構築するシミュレーションモデルでは,そのような避難者をグループとして捉え,グループ(集団)避難における行動特性のルールやアルゴリズムについてのモデル化を試みた. また本年のもうひとつのテーマとして,地理情報システム(GIS)を援用し,より広範囲な地域での避難計画に応用可能にするよう研究を進め,その導入となる基礎研究に重点を置いた. これらの研究成果の一部は,安全工学シンポジウムおよび国際学会にて以下の題名で発表した. [1]増田浩通,新井健:ターミナル駅周辺における街路避難シミュレーションモデルの構築,第35回安全工学シンポジウム,pp.139-142,(2005.7) [2]Hiroyuki MASUDA and Takeshi ARAI, "An Agent-based Simulation Model of Evacuation in a Subway Station", The 9th International Conference on Computers in Urban Planning and Urban Management (CUPUM05),29 June-1 July, London, UK,(2005.6) 構築したモデルの妥当性の検証をする手法の確立は,来年度以降も検討を要する.
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