ゲノムにおける単純な繰返し配列が、細胞内遺伝子発現機構に大きな影響を与えることがある。当研究の目的は、これら単純な繰返し配列がもたらすDMレベルでの遺伝子発現調節の追究、RNAレベルで繰返し配列が形成する特異な立体構造を介したRNA-タンパク質相互作用やRNA-RNA相互作用の同定、及び、単純な繰返し配列が翻訳されて出来た単一アミノ酸配列の持つ生理機能の追究である。 当該年度までに申請者は、様々な繰返し数を持つ(CTG)三塩基配列や(CCTG)四塩基配列を保持するプラスミドDNAを取得した。更に、これらの繰返し配列を緑色蛍光タンパク質の3'側非翻訳領域に挿入したコンストラクトを作成し、これらコンストラクトを保持する線虫C.elegansを遺伝子導入技術を用いて作成した。 更に、翻訳される繰返し配列として、アラニンが30回繰返された配列を緑色蛍光タンパク質のC末端側に挿入したコンストラクトを作成し、同様に線虫C.elegansに導入した。アラニン繰返し配列が発現した線虫では、核の形態に変化が見られた。これはアラニン繰返し配列が線虫核内で何らかの生理作用を持つことを示唆しているものと思われる。
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