研究概要 |
1.シロイヌナズナのトランスポゾン挿入変異体の系統的表現型観察 私たちがこれまでに作製したトランスポゾン挿入変異株の中で、遺伝子コード領域への挿入変異が予測されるラインを選別し、合計4,768ラインについて種子50粒ずつをシャーレ培地に播種し幼苗の生育を観察した。シャーレ内で約3週間育成した後、各ライン8個体ずつを土に植え換えて植物体の育成を続けて、形態に異常のある個体についてデジタル画像によって記録を取った。これまでのところ植物体地上部に注目して観察を行い、比較的はっきりした目に見える表現型を示したラインに関して再現性が得られるか調べた。その結果、139ライン(219表現型項目)のデータが得られ、これは観察を行ったラインの約3%に相当した。 2.シロイヌナズナのトランスポゾン挿入変異体の表現型データベースRAPIDの作製 上記の植物体観察によって得られた表現型情報について、主に生育段階に従って8つの大きな表現型カテゴリー(幼苗、葉、茎、花、鞘、種子、全体の成長、枝分かれ)とそれに付随した更に詳細な43の表現型サブカテゴリーに分類した。このデータを元に、表現型ワードから変異体データを検索できるデータベースを作製し公開した(RAPID : RIKEN Arabidopsis Phenome Information Database)。このデータベースには約200枚の変異体写真が含まれており、検索画面で表現型の項目を選ぶことで画像データが検索できる。検索結果はサムネール形式で表示されており写真をクリックすると拡大された写真を見ることができ、言葉では表しにくい変異体の様子が閲覧できるようになっている。観察を行った各変異体について、どの遺伝子にトランスポゾンが挿入されて変異を受けているかについても示されている(http://rarge.gsc.riken.jp/phenome/)。
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