研究課題
光反応性基として利用されるフェニルジアジリン骨格は、光アフィニティーラベルに必要とされる性質を持っているにも関わらず、分子内に必要な置換基を導入するために、その度に多段階反応によるジアジリン骨格形成反応を繰返さなくてはならなかった。そのため、現在プロテオーム解析の有用な手段の一つである質量分析系との組み合わせによる機能解析は立ち後れていた。質量分析計を用いたファニルジアジリン系光アフィニティーラベルを指向しジアジリン化合物内に安定同位体元素を効率よく導入する反応を検討した。近年、申請者が見い出したフェニルジアジリンへのフリーデル-クラフト反応によるアシル化により簡便に合成されるアリールカルボニル基のメチレンへの還元反応を検討した。現在一般的にこの還元反応に利用されている種々の反応を検討したととろ多くの条件でジアジリン部分が分解してしまったが、トリエチルシラン-トリフルオロ酢酸による還元ではジアジリン部分に影響なく速やかにアリルカルボニル基のみをメチレンへ還元することが明らかになった。フェニルジアジリンへフリーデルクラフトによるアシル化反応により脂肪酸エステルユニットを導入したのち、この還元方法で反応させることにより、効率良く光反応性脂肪酸誘導体が調製できることも明らかにした。この還元においてトリフルオロ酢酸が非標識試薬でも、トリエチルシランが重水素化標識していれば効率良く目的化合物に重水素が導入できることもわかった。
すべて 2004
すべて 雑誌論文 (2件)
Bioorg.Med.Chem.Lett., 14
ページ: 2447-2450
Chem.Pharm.Bull. 52
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