研究概要 |
塩基配列選択的にDNAに結合する化合物を短時間に効率よく多数合成、アッセイする手法を確立することを目的として研究を開始した。まず、非共有結合的にDNAに結合する化合物として、天然物ネトロプシンをリード化合物とするピロール・イミダゾールポリアミドに着目し、合成を行った。4-Bocアミノ-1-メチルピロール-2-カルボン酸と4-Bocアミノ-1-メチルイミダゾール-2-カルボン酸を合成し、Wang resinをそのカルボン酸末端にエステル結合させた。その後、Py/lmカルボン酸との固相コンビナトリアル合成(アミドカップリング反応)を行い、トリアミド混合体、テトラアミド混合体を得、DNAと水素結合を介する結合ができる単位とした。 一方、DNAをアルキル化する化合物としてanti-Bredt型化合物に着目し、合成を行った。まずジアザペンタレンを合成し、ジメチルアセチレンカルボン酸と反応させたところ、anti-Bredt型化合物が得られた(H.Iida, et.al, Heterocycles, 64,447-461(2004).)。また、pUC18から調製した450bp DNAをtemplateとしたRNA合成をanti-Bredt型化合物存在下で行ったところ、その合成が阻害されることが明らかとなった。この結果は、anti-Bredt型化合物がDNA templateをアルキル化している可能性が示唆するものであり、日本薬学会第125年会(東京、2005)でポスター発表により報告した。研究が予想外に進展したため、本研究費でDNAシーケンサーを購入し、現在は、アルキル化部位の特定を行う研究にまで発展するに至っている。今後は、anti-Bredt型化合物とPy/lmトリペプチドのコンジュゲートの合成、DNAの塩基配列選択的アルキル化の可能性の検討を行っていく予定である。
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