ネオカルジリン生合成遺伝子クラスター中に存在する新規ハロゲン化酵素遺伝子の機能同定を目的として、本遺伝子の大量発現系の構築を行った。T7プロモーターを利用した強力な大腸菌発現系であるpETシステムを利用した発現プラスミドを構築し、大腸菌ホストに形質転換、タンパク質発現を誘導した。種々の発現プラスミド形質転換体において期待された分子量のタンパク質の高発現が認められたが、ほとんどの発現タンパクが不溶性画分に分画された。様々なタグとの融合タンパクとしての発現や大腸菌ホストの検討、誘導条件の検討を行ったが芳しい結果は得られなかった。 そこでコールドショックプロモーターを利用した発現系を検討した。この系においても目的タンパク質は高発現するもののほとんどの発現タンパクが不溶性画分に分画された。そこで種々のシャペロンとの共発現を試みたところ、GroEL、GroESおよびtigと共発現させた場合に目的タンパク質が一部可溶性画分に分画されることを見出した。 このハロゲン化酵素の補酵素であると考えられるORF8についてもpETシステムを利用した発現系を構築しその酵素活性を確認している。 またこの遺伝子クラスター中にあるハロゲン化への関与が考えられたものの機能未同定であったORF9について、その遺伝子破壊株を作成しその生産物を分析した。その結果この破壊株が塩素が導入されたネオカルジリン類を生産していたため、このORFがハロゲン化へは関与しないことを明らかにした。
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