本研究の目的は、中央アフリカ熱帯雨林地域の文化的特性、特に、人間-自然関係における多様性の創出と保持の技法を、農耕と食をめぐる地域研究を通して考察することである。このためにはまず、特定の一地域における現在の農耕・食文化をフィールド資料と文献資料によって研究し、その上で、地域全体の生業・食文化の歴史・地理上に位置づけることが必要である。今年度は、来年度の現地調査に向けた資料集と資料の整理をおこなった。 具体的には、アフリカを中心に、東南アジア、南米などにおける熱帯雨林地帯の農耕・食文化に関する文献を収集した。特に、バナナとキャッサバの栽培・食文化に関する文献を収集した。また、中央アフリカ史に関する資料を、生業の変遷の資料を中心に収集した。資料の収集のため、国立民族学博物館、京都大学アジア・アフリカ地域研究研究科を訪れた。国立民族学博物館では、HRAFの民族学データベースを利用して、資料を収集した。また、これまでに蓄積した文献資料や写真資料などを整理し、他の研究者との情報交換のための資料用CD-ROMの作成、資料整理の補助に対する謝金などに補助金を使用した。また、国立民族学博物館共同研究「ドメスティケーションの民族生物学的研究会」、東京外語大学アジア・アフリカ言語文化研究所「土地・自然資源をめぐる認識・実践・表象過程研究会」など各種の研究会への出席により、研究テーマに対する知見を深めた。
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