平成16年度には、文献調査および男性雇用労働者に対する生活史インタビュー調査を実施し、暫定的な分析を行った。 文献調査は、国内外のジェンダー関連および労働・組織社会学関連の文献を中心に行われ、日本では、労働・組織とジェンダーに関する研究にはかなりの蓄積があるものの、本研究の主たる関心である男性のアイデンティティや男性内の多様性に焦点を当てた研究がほとんど見られないことが改めて確認された。これらの文献購入のため、交付金を使用した。 インタビュー調査は、機縁法によって選定された12名の男性労働者(首都圏2名、関西都市圏1名、福岡都市圏8名、その他1名)と3名の男性雇用労働者の妻、計15名を対象として実施された。インタビューの内容は、本人から申し出があった1名を除く対象者すべてに関して録音され、すべて文字化され、個人別事例分析が行われた。今年度の対象者には、20歳代と50歳代、第一次産業従事者が含まれていなかった他、共働きで育児や介護を行っている者が少なかったため、これらの層への調査を実施することが次年度の課題として確認された。調査に際して、調査地での調査内容の記録・分析用のノートパソコン購入、調査地への交通費および対象者への謝礼のため交付金を使用した。 交付金使用内訳の「謝金等」と「その他」の実支出額が、交付申請書に記載の使用内訳と結果的に大きく異なったが、これは、研究補助者に依頼する予定であったテープ起こしを業者に依頼したことと、調査対象者への謝礼を現金ではなく物品にしたことにより、「謝金等」で処理する予定だった支出が「その他」として処理されたためであり、実質的な支出内訳はほぼ当初の計画通りである。
|