研究概要 |
1.前年度に確立した研究方針に沿って、古代ギリシア、特にプラトン、アリストテレスの理性・合理性概念を集中的に考察した。 2.本科研の研究テーマに関連する図書で、前年度に購入できなかったもの、本年度に刊行されたものを選定・購入し、これらを概観した。そして特に重要と思われるものを集中的に研究した。そのような図書に、John Dillon, The Heirs of Plato : A Study of Old Academyが含まれる。 3.国外ではエクセター大学・オクスフォード大学・ロンドン大学、国内では一橋大学・東洋大学・東京大学・慶応大学に出張し、活発な意見交換および有益な文献資料調査を行った。特に、オクスフォード大学でのMyles Burnyeat, Charles Kahnとの、プラトンにおけるdoxaの概念についての意見交換は、本研究の視野の拡充のために格別重要であった。 4.電子メール等による意見交換も活発に行なった。特にJulius Tominとは、ソクラテスとプラトンの関係について充実した討議を行った。 5.論文「プラトンについての二つの博士論文へのコメント--中澤務「プラトン初期対話篇におけるソクラテスの倫理思想」、田中伸司「対話とアポリア-ソクラテス的探求の対話としての構造-」--」は、「神への信仰と、生のそして思考の合理性とはいかに関係するのか」、「特定個人を理性的に吟味する活動は普遍的妥当性を有するのか」の問題に関して明確な視点を示した。 6.大学院生の助けを借りて、本研究のウェブ・サイトを開設した。
|