本年度の研究実績として、国内で二回、海外で三回の研究報告を行った。 1 「帛書《二三子》篇対"言有序"的解釈--択善而不言不善」、第四届易学与当代文明国際学術研討会(於北京・香山飯店、2004年4月23日〜25日)、分組会議、同24日 2 「『易』伝の哲学--陰陽・剛柔・仁義」、公共哲学京都フォーラム北海道会議(於北海道大学、遠友学舎、2004年9月13日) 3 「上海楚簡『周易』を讀む」、第十三回上海博楚簡研究会(於東京大学、法文1号館215番教室、2004年11月20日) 4 「「変通」「趣時」之思想」、中国文学歴史与思想中的観念変遷国際学術研討会(於台北・国立台湾大学、2005年1月28〜29日)、第一場論文宣読、同28日 5 「関於上博簡《周易》的首符与尾符」、楚簡研読会(於台北・国立台湾大学、2005年1月30日) 上記の研究報告を通して、或いはその後の考察で、明らかになったことは次の通りである。 『易』伝における陰陽・剛柔、及び太極を原理とする哲学は、戦国時代の「仁」と「義」との倫理的な対立を、根底で調和させるような原理の存在を保証し、「礼」「楽」の機能を統括しようとしている。また、『易』伝においては、「変」とは四季のような時間的交替であり、それが窮まりなく往来することを「通」という。おそらく「化」は、その一つの時間の中で、空間的に物の気が組み換わる(気が聚散する)ことである。つまり、時は「変」じ、物は「化」す。次年度は、この考察の詳細を論文に纏める予定である。
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