研究概要 |
昨年度同様、まず、平成17年4月から7月にかけて、当該研究のための基礎データとすべく、19世紀後半期から20世紀前半期にかけて欧米および日本で刊行された中国美術関連の著作物(英語、仏語、独語、日本語を中心に)の書誌を作成した。同時に、現在、欧米や日本の各種機関に所蔵される中国古美術品の由来を調査し、19世紀後半期から20世紀前半期に中国を離れた古美術品をリスト・アップした。 これをもとに、平成17年9月に台湾(故宮博物院など)を、平成18年3月にはアメリカ合衆国(ニューヨーク・メトロポリタン美術館、ボストン美術館、ハーバード大学、ワシントンのスミソニアン博物館内フリア・ギャラリーなど)を訪れ、収蔵されている中国古美術品、古美術資料を現地調査した。 これらの現地調査に加え、今年度は、韓国語と日本語で、二つの研究雑誌(『美術史論壇』、『茨城大学人文学部紀要』)に,これまでの研究感果の一部を発表した。これらの論文での研究者と日本および中国の専門家との美的価値観の相違、批評基準の齟齬を明らかにした。 また、平成18年1月8日には、日仏美術学会主催のシンポジウム(恵比寿、日仏会館)において、「20世紀前半期のフランスにおける東洋美術研究の理念と方法--植民地主義・形式主義・普遍主義--」と題して口頭発表を行う機会を得て、本研究の一部を公表した。発表のレジュメは、平成18年度発行の『日仏美術学会会報』に掲載予定である。
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