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2004 年度 実績報告書

古の画家との競合-プラハのマニエリスムにおける北方ルネサンス美術の受容と翻案-

研究課題

研究課題/領域番号 16720032
研究機関近畿大学

研究代表者

平川 佳世  近畿大学, 文芸学部, 講師 (10340762)

キーワード北方ルネサンス / マニエリスム / ヤン・ブリューゲル / 風景画 / デューラー / 初期ネーデルラント絵画 / ルドルフ二世 / 地獄絵
研究概要

本研究の目的は、プラハのマニエリスムにおける北方ルネサンス美術の受容について、当代の画家と古の画家との競合という観点から考察することにある。初年度にあたる本年度は、ヤン・ブリューゲル(父)における北方ルネサンス受容を中心に研究を行った。ヤン・ブリューゲル(父)はルドルフ二世の宮廷画家ではないものの、プラハ滞在中にデューラー素描に基づく油彩画を描くなどプラハにおける古の画家との競合に大きく関与しており、また、その風景表現において、当地の画家たちに多大なる影響を与えたことでも知られる。ヤンは16世紀末から17世紀初頭にかけて、ネーデルラントに伝統的な地獄絵を多数手がけており、本年度はそれらを様式上あるいは主題上の特徴やイタリアにおけるネーデルラントの風景画の受容などの観点から検証した。その結果、地獄絵の領域におけるヤンの初期ネーデルラント絵画受容はイタリアの美術愛好家の視線を強く意識したものであり、ただ単に過去の巨匠が得意とした絵画ジャンルを繰り返すのでなく、神話主題の導入や彫刻との競合など、当代の芸術動向を巧みに織り込んだものであったことが明らかとなった。こうしたヤンの試みは、彼がプラハにて描いたデューラー素描の翻案作品にも共通する特徴であり、プラハにおける北方ルネサンス受容を考察する上でも有効な視点を我々に与えてくれるものである。
上記に加えて、本年度はさらに、プラハのマニエリスムを代表する画家であるスプランゲルの作風形成についても引き続き検討を行った。その一環として、平成16年9月には、フォンテーヌブロー宮のフレスコ画装飾を実見し、また、平成17年3月には、スプランゲルの作風形成に多大なる影響を与えたツッカロらの作品を実見調査する予定である。デューラーやレオンハルト・ベックらドイツ・ルネサンスの画家とスプランゲルの競合については、来年度の主要課題とする考えである。

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2005 2004

すべて 雑誌論文 (2件)

  • [雑誌論文] 地獄のブリューゲル-ヤン・ブリューゲル作《トロイア炎上》をめぐって-2005

    • 著者名/発表者名
      平川 佳世
    • 雑誌名

      近畿大学文芸学研究科紀要『混純』 2号

      ページ: 131-160

  • [雑誌論文] ルーベンス公房と模写のマーケティング2004

    • 著者名/発表者名
      中村俊春(解説・注釈), 平川佳世(訳)
    • 雑誌名

      西洋美術研究 11号

      ページ: 144-166

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公開日: 2006-07-12   更新日: 2016-04-21  

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