平成16年度はまず、ミュンヘン手工芸連合工房(以下手工芸連合工房)に関する基礎的資料の収集を行った。 平成16年9月13日-29日には中央美術史研究所(ミュンヘン)、ゲルマン国立博物館図書館(ニュルンベルク)を訪れ、関連する美術工芸雑誌、展覧会カタログ、修士・博士論文等の閲覧と資料収集を行った。また、ミュンヘンの市立博物館では工芸部門のゲッツ氏、連合工房資料室(ミュンヘン)ではランメルト・ゲッツ氏に面会して手工芸連合工房に関する貴重な教授を得るとともに、所蔵する作品や写真資料等の閲覧を許され、写真撮影を行う機会を得た。この調査で明らかになったのは、契約書「有限会社設立について」の締結日1898年4月13日をもって手工芸連合工房の設立とすること、1908年頃には手工芸連合工房はベルリン、ブレーメン、ハンブルク、ニュルンベルク、ハーゲンにも支店を開き、ミュンヘン郊外とブレーメンに工場を建設し、家具を生産したことである。 平成16年11月25日-27日、平成17年3月16日-18日には京都工芸繊維大学において1901年から1904年までの『装飾美術』誌に掲載されている手工芸連合工房の記事、広告の調査を行った。この調査では、手工芸連合工房は1901年にミュンヘンのレジデンス通り25番に展示販売所を開設、1903年にはヘルツォーク・ルドルフ通り18番に展示会場、事務所、家具工房を移転したことが明らかになった。 上記の調査以外の期間には、収集した資料の整理と翻訳、主要作家経歴、図版、文献目録を作成した。 以上の調査結果を踏まえ、平成17年3月15日には論文「第7回国際美術展と連合工房の創設-ミュンヘン手工芸連合工房史試論」を長崎大学研究報告刊行委員会に提出。3月26日には九州産業大学において行われたデザイン史学研究会において、「ミュンヘン手工芸連合工房の設立の経緯と初期の会社形態」について発表した。
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