本年度も昨年度から継続して、研究課題に関する書誌調査・文献収集・資料解釈などの作業に従事した。具体的な作業としては、平成16年度の調査において、実際に確認することのできなかった出版物の書誌調査を、該当出版物の所蔵図書館に赴くことなどを通じて、新声社刊行物の全貌をより把握できるよう努めた。 本年度の調査では、いくつかの重要な気付きがあったが、東京大学明治新聞雑誌文庫に第一号から第六号まで所蔵されている新声社発行の『文藝新聞』を閲覧し、マイクロフィルム化することができたことは、とりわけ大きな前進であった。これは、本研究課題が想定している、文学結社としての新声社、という側面を補強する適切な資料体である。また山梨大学附属図書館近代文学文庫、早稲田大学中央図書館柳田泉文庫・衣笠詩文庫などを対象とした調査も行った。こうした調査の進展に伴って、出版物が刊行された事実は明白であるが、実際の書籍が確認できないというものが増加し、調査の範囲は広がりつつも達成目標への到達は、決して平坦ではないことが浮かび上がりつつある。平成18年度は、本研究課題の最終年度でもあり、より充実した成果を提示できるよう、さらなる調査と書誌作成の作業を充実させる予定である。 こうした研究活動のために、国内旅費、物品費(コンピュータ関係消耗品、複写費、雑誌購入費など)を支出した。
|